第1回ミッドウェイ撮影ツアー実施のために平成13年1月20日〜1月27日までミッドウェイ島へ渡航してきました。出発日の午後から日本は雪模様になるなど波乱含みでしたが世界最大規模のコアホウドリのコロニーの様子など日記風に記しておきたいと思います。


1日目(1/20)

★出発は雪?

ユナイテッド航空のカウンター前で集合のため、単身成田エクスプレスにて第一ターミナルへ向かった。天候はあまり良くない。雪になるかもしれない予報が出ていたほどだ。

出発のチャックインを済ませて自宅へ最後の電話をすると都心は雪が降ってるとの事だった。成田は幸い雨交じり程度で済んでいたので出発には問題なさそうだ。

無事出発。機内で流行りの映画を二本観て機内食を食べ、ボーとしているとハワイへ到着。

日付変更線を越えているので出発と同じ日の朝7時だった。地球は不思議な星だ・・・

前回下見で来た時には、入国審査の時に「ミッドウェイへ何しに行くのか?」という話で散々待たされたが今回は滞在日数を聞かれるだけで済んだ。しかし、顔色としては「何しに行くのか?」聞きたそうではあった。変った日本人だと思われたようだ。

ミッドウェイ行きの飛行機まで約8時間ほど時間が空く。これが困り者で初めて行く人には相当の覚悟が必要だと思う。時間つぶしを事前に考えておかないと半端な待ち時間ではない。

★なんでこんなに待つのか?

アロハ航空のチャックインのために出発時間の2時間前にホノルル空港へ着く。少々早めに着いたために係りから「まだ時間ではない」と言われ座って待つことになる。

気が付くと団体がチャックインし始めていたので並ぶ事にする。搭乗時間まで2時間ある。

遅遅として列が進まない。永遠と思われる時間が流れてもまだ私たちの番にならない。そうこうするうちに搭乗開始の時間になった。それでもまだ自分達の番にならずにまだ前にチャックイン待ちの人たちが並んでいる。大丈夫かどうか心配になる。でも、荷物すらまだ積み込む様子がないので勝手に飛び立つ事は無いだろうと自分に言い聞かせる。

やっとチャックインを済ませたのが午後4時過ぎ。本来ならば出発ロビー前でコーヒーを余裕で飲んでいるはずが、慌てて搭乗口まで向かうことに。機内に乗り込み飛ぶのを待つ。

飛ばない。今度はいつまでたっても飛行機が飛ばない。時間はとっくに過ぎているのに動く気配が無いのだ。5時30分になりやっと動き出す。到着時間は当然遅れるはずだ・・・

★闇夜に気配

長い一日だった。到着から出発までの間がやたらと長いので余計身にしみて長く感じた。

夜9時にミッドウェイに到着。予定よりも2時間以上遅れていた。入れ替わりで帰国する人たちが空港で待っているはずだが、考えただけで気の毒に思う。彼等は夜中の2時にホノルルのホテルへチャックインするのだから・・・

機内から出るとタラップの側にフェニックス社の田畑さんが待っていた。再会を喜ぶまもなく宿泊棟へ向かう。

機内から既に気が付いていたが、真っ暗な闇の中で白い塊が無数にしゃがみこんでいるのがわかる。ライトが当たるところだけくっきりとシルエットが浮かんでいる。コアホウドリ達だ!

空港にたちこめる匂いも以前来た9月と違い魚くさい。匂いからしてこの島の状況がいまコアホウドリ一色になっているのが判る。宿泊棟へ向かうバスの中から辺りを見渡すとやはり見慣れたはずの光景が全く違うのが判る。あたり一面地面の上はすべてコアホウドリがうずくまっている。またはヒョコヒョコと不器用に歩く姿が見られる。求愛行動を取る者もいる。世界最大規模のコロニーがいま目の前にある。

前回の宿泊棟はブラボー棟だったが、今回はチャーリー棟だった。二棟ある宿泊棟の両方を体験することになった。

部屋を確認して落ち着くと、オールハンズクラブへ向かう。アメリカ軍の置き土産はいかにも映画に出てきそうな雰囲気のバーで簡単なスナックとお酒が楽しめる。長旅の疲れをビールで癒しながら初日の眠りに付く。


2日目(1/21)

★天候は晴れ

ミッドウェイ島初日にあたる今日は、決まりごとのオリエンテーションを受ける。朝食をクリッパーハウスで済ませてからビジターセンターへ向かう。今回は日本人ツアーが多く自分たちも含めて約20名ほどいる。撮影とバードウオッチングが目的の人たちだ。説明の中でコアホウドリの雛がまだ産まれていないことを知る。

オリエンテーション終了後、午後からサンド島ツアーがあるとの事なので9月に渡航した自分は自由行動で出歩く事にする。とりあえずノースビーチで撮影をしながら島の雰囲気を味わう。

前回と違い飛んでいるのは、ほとんどコアホウドリばかり。アカオネッタイチョウが優雅に飛んでいた浜辺はコアホウドリ達のコロニーが点在していて他の鳥達はみあたらない。

以前シロアジサシの雛がしゃがんでいたクリッパーハウスの灰皿の上もなにもいなかった。

★昼食はギャリーでカレー

お約束どおり、昼はギャリーでカレーを食べた。他にもメニューはあるが以前も美味しかったのでカレーを食べたため、今回も順ずる。島の雰囲気はかなり違うがこの辺は変らず美味しい。昼食後は一休みしてから初参加の人たちがサンド島ツアーに行く事になる。私は案内できるほど道を覚えていたので逆ルートから自転車で島の中を回ることにした。

芝生の上は見事にコアホウドリばかりだった。しゃがんで卵を抱くもの、ヒョコヒョコと不器用に歩き周り手短な仲間に求愛ダンスを仕掛けるものなど様々だ。卵がいたるところに放置されているのが目に付く。若い親鳥が孵化を待てずに見捨ててしまう例があることを後々聞く。

求愛ダンスの声が凄かった。気が合うものと合わないものがいるのかタイミングが合わないで見ていてイライラする個体もあったがダンスとはよく言ったもので見ていて飽きない。くちばしをカスタネットのように鳴らす仕草や片羽にクビを突っ込む動作、お互いクビを持ち上げて鳴き交わす仕草など島の中のあちらこちらで行われている。

島の中心部はコアホウドリばかりで、他のクロアシアホウドリは海辺の人気の無い場所にしかいない。クロアシアホウドリはFWSの方に言わせれば「シャイ」で人馴れしていないから人間をみると怖いので近づかないそうだ。

★クロアシアホウドリとコアホウドリ

アホウドリと名がつきながらも、両者は見た目も違う。コアホウドリは頭から胸の辺りまでは真っ白でくちばしは薄いピンク色をしている。羽は黒。

クロアシアホウドリは全身がこげ茶色をしていて、くちばしの付け根が白っぽい色をしている。

見た目の違いや住み分け以外でも、求愛行動のディスプレーもパターンが違う。コアホウドリは先ほど描写した通りでいわば「アメリカのディスコ(古いか?)でおどるロック」のようだ。

クロアシアホウドリは泣き声も違うが全般的に「社交ダンス」のように優雅だ。コアホウドリで片羽を持ち上げる動作がクロアシアホウドリの場合は両方の羽を同時に持ち上げてお辞儀をするような動作を行う。鳴き交わしの声も低く淑やかな感じがした。黒衣の貴婦人といった風か?

★夜はクリッパーハウスで夕食。

前回と違い他の参加者もいるので夕食はクリッパーハウスでとることにした。夕方から天気が悪くなり残念ながら綺麗な夕日を見ながらの食事と言うわけにはいかないが、ここの夕食は好きだ。

夕食後は、オールハンズクラブへ。コロナビールがすっかり体に馴染み眠る前に心地よい酔いがまわって次の日に向けて英気を養える。


3日目(1/22)

★自由行動の日-天候曇り

この日は特にイベントが無い日なので自由に撮影する予定でいたが、OWSの企画で「ウエストビーチトレイル」があるというので午後から参加することにした。

ただし、あまり天気が良くない。朝日も無理だった。前回9月が終始天候に恵まれていただけに誠に残念だ。

午前中、宿泊棟近くのコアホウドリ達を撮影して歩きながら、雛が居ないか目を皿にして探す。クロアシアホウドリの雛は既に生まれているそうだがコアホウドリはまだとの事。しかし、もしかしたら見逃してるだけかも知れない。なんせ凄い数が居るので見慣れてくると識別は難しくなるはずだから。

★ウエストビーチトレイル

前回くまなく散策したはずが、何故かウエストビーチだけは足を踏み込まなかった。たぶん勘違いして立入禁止と判断したのだと思うが、今回はOWSのネイチャーガイドとFWSのレンジャーに同行してもらい散策する事になった。

私のサンド島印象としては、平たくて起伏の無い島だと思っていたがウエストビーチは違った。浜辺から内陸に向けて多少の起伏があり、いずれ切られる運命にあるとはいえ林が存在する。林の間の決められたルートを歩きながらコアホウドリの話やクロアシアホウドリの話、島の歴史の話を聞く。

ルートの途中には戦争中の名残があり、トーチカや対空砲の陣地跡などが木々の間から見える。その周辺もすっかりコアホウドリ達のコロニーになっており殺伐とした戦場跡というよりはSFに良く出てくる人間が滅んだ最終戦争後の世界にいるようで面白かった。


ビーチはモンクシールが居るために立入禁止になっているが、トレイルの途中には7箇所浜辺が覗ける場所が設けており延々と2kmにおよぶウエストビーチを望むことが出来る。今回は雨降りと言う事もあり5箇所で引き返した。トレイルの途中からコアホウドリの巣が密集してきたのも理由の一つだ。たとえ人間が立ち入れる場所だしても鳥に影響がある場合は避けて通るのがマナーだと思う。

それにしても、前回この場所に来なかった事が悔やまれるくらい気に入った。なんとも心地よい場所だった。


4日目(1/23)

★イースタン島ツアーの日天候−雨

FWSによるイースタン島ツアーの日だ。朝食をギャリーで取り時間に間に合うように備えるが今一天候がすぐれない。というよりも、雨が降っているのだ。雨具を着込みカメラも濡れないようにタオルにくるんでいるものの不安だった。

集合場所の桟橋にいっても雨はやむ気配がない。イースタン島の方角はなんとなく明るいが雨がカーテンのように海の上に降っているのがわかる。とりあえず、全員乗り込み桟橋を一度離れるが雨が本降りになりあえなく中止。無理して渡ったとしても何も意味を成さないのは明白だっただけに判断は正しいと思う。

午後に再度チャレンジとの通達が出たが、結局午後も雨でこの日は中止になった。イースタン島はある意味目玉だから誠に残念だった。

午後は室内からコアホウドリの写真を撮影した。部屋の目の前にも沢山しゃがんでおり窓を開けて撮影する事も可能だった。逆にこの方が相手も緊張しなくて良いのかもしれないと思う。

観察していくと、雨水をくちばしで受けて飲む行為が見られた。始めはくちばしを動かしているだけかと思ったがよく見ていると喉も動かしているので給水行動だと思った。

親鳥の羽は水はけが良いのか、雨水が玉状になって羽の上を滑っていく。海に生きる生き物だから当然とはいえよく出来ている。寒さも感じない様子だが、本当の所は聞いて見なければ判らない。


5日目(1/24)

★ミッドウェイ島最終日−再度イースタン島へ

最終日だが、朝からイースタン島へ行く事になった。天候は曇り空。昨日とは違い雨が降るそぶりは無い。

上陸用艇に乗り込み一路イースタン島へ向かう。途中でスピナードルフィンに会えるかもしれないと、緊張しながらカメラを構えていたが現れなかった。アメリカ人を含めて総勢30人近い人間が上陸するのでグループを大きく2つに分ける。

OWSのネイチャーガイドが通訳がてら、先頭に立ち説明をしてくれた。

島の雰囲気も前回来た時と打って変わり、コアホウドリ一色だった。所々クロアシアホウドリも見られるが圧倒的にコアホウドリが目立つ。頭上にもコアホウドリが舞いとび風を大きな羽一杯に受けながら優々と飛んでいる。

この島で、オスのオオグンカンドリを見るのが楽しみだった。前回来た時には繁殖期ではないので特徴である赤い喉袋を見ることが出来なくて拍子抜けしたが、今回は見られるはずであった。

しかし、何処にも居ない。とまっているはずの木々も幼鳥は居るが親鳥が見当たらない.メスが時折上空を飛んでいるがそれは前回も見ているので、オスがいないか探してみる。

もう一つの楽しみは、アホウドリを見ること。サンド島にも居るが見ることが出来なかったのでイースタン島でデコイに囲まれた「アホウドリ」をみるのを楽しみにしていた。ポイントにつくとデコイの周りをくまなく探すがデコイが余りにも良く出来ているので中々見つからない。

他のグループの方が見つけて場所を教えてもらうが、中々ファインダーの中に捉えることが出来ずいると、デコイと思っていたものが羽を伸ばした。やっと見つけてシャッターを切る。

結局、オスのオオグンカンドリは見つける事が出来なかった。
時期が違うのかそれとも運が悪いのか・・・・・

★ホノルルへ行く前に

チャックアウトの前にもう一回り自転車で島内を回った。風が強くて向かい風の時などはペダルを漕ぐのも大変だが雨の中よりは気持ちよい。

改めてコアホウドリが群れる芝生を眺めてみる。あたり一面が鳥だらけという光景は確かにこの時期にミッドウェイ島へ来ないと見られない光景だと思った。

空港へ降り立った時に、空気の匂いが違うと思ったほどの数が飛来し、連れ合いを見つけ、求愛行動をして卵を産み、子供を育てる。

そして時期が来れば親は先に飛び立ち、子供たちは飢えを癒すために海へ向けて羽ばたきの練習をしながら移動していく。力尽きて命を落とすもの以外は。

そんな光景を思い浮かべながら今はまだ卵のまま親鳥に抱かれている未来のコアホウドリ達が人間の心無い行動によって命を落とさないように祈った。

★一路ホノルルへ

最終日は全て予定通りだった。帰りの飛行機も定時に到着して我々の替わりに島へ来た人たちを出迎える。

毎日耳にしてきたコアホウドリ達の鳴き声ももうじき聞けなくなるのかと思うと寂しいきもした。中にはあの声が耳に着いて眠れない人もいたようだが、私は平気だった。

ホノルルへ向かう機内からは闇夜にまぎれてコアホウドリ達を見ることはできなかった。飛び立つ飛行機の真下にはあの光景が広がっているはずだ。

次は何時見ることができるか判らないが、いつまでも続く命のダンスは変らずにいてほしいと願う今日この頃である。


6日目(1/25)

★ホノルルは初めて

生き物達が優先される島から人間の生活圏へ一気に来た。ミッドウェイは夜道でも道案内ができるがホノルルは勝手が違う。何をして良いのかも判らない。とりあえずオノボリサンとしては買い物に連れて行ってもらう事にした。

世界有数のアラモアナショッピングセンターで家族向けの買い物を済ませた後、一休みしてベンチに腰掛けていた。青い空を見上げても飛ぶ鳥は少なく、逆に飛行機が目に入る。

近くで鳩に似た小型の鳥が求愛行動を始めた。ルイビトンの売り場の前で。


7日目(1/26、27)

★そして帰国

ホノルル空港へ向かい、チャックインを済ませ一路日本へ。これと言って変わった事も無く、いつもどおり。機内で3本流行りの映画を見て食事をして読書を済ますと日付変更線を越えて27日になっていた。

着いてみると日本は大雪の日だった。成田はかろうじて霙ですんでいたが、都内は交通が危うい状態との事でリムジンバスは運休していた。

終始天候に翻弄された旅の締めくくりとしては出来すぎの気もするが、雪で始まり雨に続き大雪で閉める。

旅とはそんなものか?


2000年9月視察旅行記はこちらを!